NAJC会長のメッセージ、2019年11月

ロリン・及川

11月11日に私はバンクーバーのスタンレーパークの日系カナダ人戦士記念碑に全カナダ日系人協会を代表して、カナダのために戦死した日系カナダ人に花を捧げに行きます。第一次世界大戦中にブリティッシュ・コロンビア州政府は日系カナダ人が入隊することを拒否しました。そのため220名以上の日系カナダ人はアルバータ州に行って入隊しました。しかしこの兵士たちは、カナダに対する忠誠と戦場での勇気ある活動をしたにも関わらず、戦後、故郷に帰ると選挙権が拒否されました。1942年に太平洋戦争が始まると、この第一次大戦の兵役経験者はほかの日系カナダ人と一緒に強制収容所に送られ財産を没収されました。第二次世界大戦中にも日系カナダ人の入隊は拒否されました。私の叔父のバック・スズキもカナダ軍への入隊を拒否され、英国軍に入隊しました。カナダ軍は叔父を英国軍に貸し出したと言いました。

Buck Suzuki in Military Uniform NNM 2010.23.2.4.682 軍装をしたバック・スズキ

私はバック・スズキが軍装でもう一人の兵と一緒にスタンレーパークの戦死兵士慰霊碑の前に立っている粒子の粗い白黒写真を見たのを覚えています。このとき写真の中の戦死者慰霊碑は建てられてから28年ぐらい経っていたでしょう。来年は慰霊碑が建てられてから100年になります。2020年4月9日に100年祭があります。100年祭の詳細は今年のレメンバランス・デイ(戦死兵士慰霊日)に発表されます。

2020年4月で日系カナダ人が選挙権を獲得してからやっと71年になります。中国系とインド系カナダ人は日系カナダ人より2年早く1947年に選挙権を獲得しています。カナダ原住民の選挙権は1960年まで待たねばなりませんでした。多くの私のソーシアルメデアの友人たちは先月の連邦選挙で投票に行ったと言っていますが、カナダ全体では有権者の34パーセント、920万人の有権者が投票しなかったことがなお懸念材料です。

私達が投票に行かないと、私達個人そして社会に大きな影響を与えるようなことの決定を他人にまかしてしまうことになります。同様に私達が自分たちの歴史を知らないと、私達または他の人が私達の犯した過去の過ちをまた犯してしまいます。日系カナダ人の歴史を広く知ってもらおうというのは、BCリドレス協議会への参加者の多くが口にしたことでした。私達は現在ブリティッシュ・コロンビア州政府とカナダ人全般に公開するBCレドレスの報告書をまとめています。また報告書提出の次の段階の戦略委員会に参加してもらう委員の了解をとっています。報告書の内容その他については今月の会長のメッセージに間に合いませんでしたのでNJCAウェブサイト(najc.ca)を御覧ください。

また日系カナダ人のいろいろな話を聞く機会があるのでご利用ください。11月7日にトロントでエリック・アダムズ博士の「日系カナダ人がどのようにカナダ憲法の制定に貢献したか」という講演会があります。私は博士の講演を昨年バンクーバーで聞く機会に恵まれました。博士は次のような講演をしました。当時NAJC会長を努めたゴードン・カドタが1981年にNAJCの代表団を率いてオタワに行き、カナダ連邦政府が検討していた「人権と自由の憲章」について、検討案をどのように強化すれば日系カナダ人に起こったことが再び他のグループに起こらないよう出来るかを提案しました。カナダ連邦政府はゴードン・カドタの提案に心を動かされ「人権と自由の憲章」を改定しました。このアダムズ博士の講演会にはゴードン・カドタも出席していて、この出来事についての話をしました。聴衆はゴードン・カドタに会えて大変喜びました。11月7日のトロントの講演会の詳細はNAJCトロントチャプターにお問い合わせください。

バンクーバーで「この真実を守れ」というゴードン・ヒラバヤシの生涯に基づいた演劇公演がありました。ゴードン・ヒラバヤシは米国において連邦政府による第二次世界大戦中の日系アメリカ人の強制排除と収容所への隔離の政策に反対して戦い投獄されましたが、後にその功績により米国大統領自由勲章を授与されました。先月末、私たちはNAJCナイトに参加しました。そこではトークバックと、スターのJoel de la Fuente、プロデューサーのTamlyn トミタ、劇作家のJeanne サカタとのQ&Aセッションが行われました。

ゴードン・ヒラバヤシ博士は米国とカナダの両国において、人権問題に対する勇気ある行動と指導力を高く評価されています。博士がまだ大学生だった1942年に米国連邦政府は太平洋戦争の勃発と同時に日系アメリカ人の夜間外出禁止令を施行しました。博士はこの法律に従いませんでした。博士は1980年代にNAJC協議会の会員として活躍し、リドレス運動の基本方針の決定に貢献しました。NAJCは2012年に博士に敬意を表してゴードン・ヒラバヤシ博士人権賞を創立しました。

 

ゴードン・ヒラバヤシ博士は米国で不正と戦った若い日から晩年の教育者、人権問題の活動家としての活動まで、その生涯は常に自由を求める魂の軌跡でした。私達はその生涯からどのように不平等と戦うかということ、粘り強く諦めずに歴史から教訓を学ぶこと、そして真実を守っていれば将来を変えることが出来るということを学ぶことが出来ます。

「真実を守って」は、米国での巡回公演の後にバンクーバーのカルチ歴史劇場で初めての国際公演として行われました。私はカナダの他の場所でも公演する予定があるかを問い合わせています。

どうぞ皆様、日系カナダ人の真実と歴史を学び続けてください。そして11月11日午前11時には我々が現在享受している民主主義を守るために戦死した人達のために一分間の黙祷をささげてください。

 

 

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