NAJC会長のメッセージ 2021年2月

ロリン・オイカワ

米国連邦議事堂を暴徒が襲撃するテレビを見て驚愕してから一週間後に、ジョー・バイデンが無事に大統領就任式を終了したので、私たちは皆ほっとしたとおもいます。私たちは米国にいる親戚や友達、日系アメリカ人市民同盟の会員のことをとても心配していました。カマラ・ハリスが米国で選挙によって選ばれた最高位の女性として、そして最初のアフリカ系・南アジア系アメリカ人として米国副大統領になったことに元気づけられました。

カマラ・ハリスが副大統領に就任するのを見て、未来への希望が湧き上がってきました。そしてオタワのホテルの一室で、NAJC人権問題委員会の委員たちが集まって、テレビで米国大統領選の結果を見ていた深夜を思い出しました(コロナ禍の数年前のことです)。その晩、バラック・オバマが初のアフリカ系アメリカ人として大統領になりました。これは米国の話でカナダの話ではないことはわかっていましたが、やはり象徴的な出来事だとおもいました。人種的少数派のオバマが選挙で選ばれる最高の仕事に就けるなら、人種的少数派の可能性は無限だとおもいました。

大統領、副大統領就任式で初めてのことが他にもありました。ケネディー、クリントン、オバマ、バイデンの4人の大統領のために、貢献した6人の詩人の中で一番若いアマンダ・ゴーマンが詩を朗読しました。「私たちが見つめる勇気さえあれば、光はいつもそこにあります。光を信じる勇気があればよいのです。」

これら「最初のこと」を称賛したいとおもいます。そして、このような動きを止めないようにしたいです。「最初のこと」を喜んでいるだけでなく、「最初に続く人たち」にドアを開けておく必要があります。開かれた政府と組織が必要です。いろいろな声を聞いて物事を決める必要があります。私たちは平和と共に正義を望みます。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの言葉を思い出します。「真の平和とは緊張が無いということだけではない。正義が存在するということだ。」

米国連邦議事堂での暴力行為を見ながら、米国に住んでいなくてよかった、カナダで良かった、とおもう人が多かったとおもいます。カナダに住む幸せに自己満足していてはいけません。憎しみと人種差別は他の国だけの問題ではありません。‘

日系カナダ人はカナダに憎しみと人種差別があることを、私たちの祖先がカナダに移住して来てから、現在の新型コロナウィルス大流行の最中の人種差別的な出来事まで、経験からよく知っています。他の少数派カナダ人、たとえばカナダ先住民、アフリカ系、イスラム系、ユダヤ系カナダ人たちと一緒に活動をする中で、これらの人々の経験も知りました。2021年の現在でも残念ながらまだ人種的な憎しみはあります。

現在、カナダ人は以前にもましてオンライのヘイト-人種差別、性差別、同性愛者差別の形態をとった-を経験しています。カナダ人の20パーセントに当たる人種的少数派のカナダ人は他のカナダ人の三倍もオンラインヘイトの対象になっています。この数字は今年1月末に発表された、カナダ人種関係基金による調査結果です。この調査によれば、カナダ人の93パーセントがオンラインのヘイトスピーチを問題にしています。カナダの問題は、ソーシャルメディアが危険で歪曲された言説をまたたく間に拡散させることです。少なくとも60パーセントのカナダ人は、連邦政府がオンラインのヘイトメッセージを阻止する義務があると考えています。そして5人中4人がオンラインでヘイトメッセージや人種差別的な言説を発信する人を取り締まる法律をより厳しくすることに賛成しています。これらの調査の結果はここにあります。 crrf-fcrr.ca 或いは najc.ca。

ヘイトと戦う方法の一つは、理解を高めることです。NAJC寄贈基金委員会は日系カナダ人の文化と伝統の促進と発展を支援しています。そして日系人コミュニティーに属する個人と団体のプロジェクトを支援します。今年のNAJC寄贈基金助成金の申し込み締切は6月30日です。助成金申し込みの詳細はもうすぐNAJCウェブサイトnajc.caに掲載します。

NAJC寄贈基金助成金の支援を受けて、最近、次の本が出版されました。協和会著「共和会:ニュー・デンバーの記憶と癒やし、日系カナダ人収容所記念センター」です。ニュー・デンバーの日系カナダ人収容所と協和会による日系カナダ人収容所記念センター(NIMC)の設立、そして記念センターが鼓舞する癒やしの話です。本はGST込みで21ドル、それと送料が10ドルです。本の売上は日系カナダ人収容所記念センターに寄付されます。購入希望者は nikkei@newdenver.ca にメールしてください。本の詳細はNAJCフェースブックとウェブサイトにあります。

NAJC人権問題委員会は1時間の「モホークインディアン寄宿学校」の仮想ツアーと30分の質疑応答を2月21日午後3時から4時半(東部時間)に予定しています。この催しはオンタリオ州ブラントフォードにあるウッドランド文化センターの証拠保存コーディネーターによって司会されます。催しは無料ですが、この集中的な学習体験に積極的に参加し、親しみのあるものとするため参加者は40名に制限されます。質疑応答の時間では参加者がオンラインでお互いを見られるようになります。詳細と登録の仕方についてはnajc.ca または  humanrights@najc.ca に連絡してください。

新形コロナウィルスがカナダで確認されてから、丁度一年経ちました。ワクチン接種が始まり、希望が見えてきました。しかし、感染爆発やウィルスの変異型が出てきた現在では予防対策の継続は必要です。ワクチン製造会社のひとつに製造の遅れがでているという問題もあります。どうぞ安全な毎日をお送りください。NAJC全国理事会は皆様の健康、平安、そして正義を願っています。

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